WordPressでサイトを公開したあと、「保守」として何をすればいいのか。見積書に「保守費用 月額○円」と書かれていても、その中で実際に何が行われるのかは分かりにくいものです。
WordPressは世界中で使われている分、攻撃する側にとっても狙う価値の高い対象です。放置したサイトが改ざんされる事故は珍しくありません。一方で、やるべきことは決まっています。何をどの頻度でやるのかが分かれば、自社でやるか外に出すかも判断できます。
この記事では、保守で実際に行う作業、放置したときに起きること、自社でやる場合との分かれ目、依頼先の選び方を整理します。
目次
- 1. 保守で実際にやっていること
- 2. 放置すると何が起きるのか
- 3. 自社でやるか、外に出すか
- 4. 依頼先の4つの形
- 5. 契約前に確認したいこと
- 6. 費用の考え方
- 7. まとめ
1. 保守で実際にやっていること
WordPressの保守は、大きくバックアップ・セキュリティ・アップデートの3つに分かれます。WordPressケアスタジオでは、この3つが揃っていることを保守の最低条件と考えています。どれか1つでも欠けると、事故が起きたときに元に戻せません。
| 柱 | やること | 頻度の目安 |
|---|---|---|
| バックアップ | ファイルとデータベースの取得、保管先の分離、復元できるかの確認 | 更新頻度に応じて日次〜週次 |
| セキュリティ | ログイン周りの保護、管理画面へのアクセス制限、改ざんの検知、SSLの維持 | 常時(監視) |
| アップデート | WordPress本体・プラグイン・テーマ・PHPの更新と、更新後の表示確認 | 公開のたび(随時) |
補足バックアップは「取っていること」ではなく「戻せること」が要点です。取得はできていても、復元を試したことがないケースは少なくありません。保管先が同じサーバ上だけだと、サーバごと障害が起きたときに一緒に失われます。
アップデートは「当てれば終わり」ではない
WordPressの更新で最も手間がかかるのは、更新そのものではなく更新後の確認です。プラグイン同士の相性で表示が崩れる、フォームが動かなくなる、といった不具合は更新してみるまで分かりません。
そのため実務では、いきなり本番を更新せず、複製した環境で当ててから本番に反映します。この「試す場所」を持っているかどうかが、保守の質の分かれ目になります。
更新には、同じバージョン内で上がるマイナーアップデート(6.9.1 → 6.9.2)と、バージョンそのものが上がるメジャーアップデート(6.9 → 7.0)があります。マイナーは主に不具合とセキュリティの修正で影響が小さく、メジャーは仕様が変わることがあるため、プラグインやテーマとの相性を確かめてから当てます。戻せる状態を作ってから進めるのは、どちらでも同じです。
本体だけでなくPHPのバージョンも対象
WordPressはPHPの上で動いているため、PHPのサポートが切れると、本体が最新でも土台が古いままになります。サーバ側の作業になるので忘れられがちですが、保守の対象に含めて考えてください。動作環境の一覧はWordPressのバージョン別の動作環境・推奨環境にまとめています。
2. 放置すると何が起きるのか
WordPressの脆弱性は、本体よりもプラグインとテーマで多く見つかります。セキュリティ企業Patchstackの「State of WordPress Security in 2026」によると、2025年に新しく報告された脆弱性は11,334件で前年比42%増。内訳はプラグインが91%、テーマが9%、WordPress本体は6件でした。
つまり、本体を最新にしていても、入れっぱなしのプラグインが穴になります。更新が止まったプラグインは、そのまま将来の脆弱性として残り続けます。
改ざんされる
ページに見覚えのないリンクが埋め込まれる、別サイトへ転送される、といった被害が起きます。検索結果に警告が出ると、復旧後も評価が戻るまで時間がかかります。
復旧に費用と時間がかかる
バックアップが無い、あるいは戻せない状態だと、原因調査から作り直しに近い作業になります。止まっている間の機会損失も同時に発生します。
更新できなくなる
長く放置したサイトは、いざ更新しようとしても一気に上げられません。段階を踏む必要があり、その分だけ費用がかさみます。
加害側になることがある
乗っ取られたサーバが迷惑メールの送信元や他サイトへの攻撃の踏み台にされることがあります。自社の被害だけでは済みません。
改ざんの具体的な手口と復旧の流れはWordPressサイトの改ざん手口、被害、対策に、実際に起きたときの対応はトラブル解決サービスにまとめています。
3. 自社でやるか、外に出すか
保守は外注しなければできない作業ではありません。判断の分かれ目は「担当者がいるか」ではなく「担当者が代わっても続くか」です。
| 状況 | 向いている選択 | 理由 |
|---|---|---|
| 社内にWordPressを触れる人がいて、手順が文書化されている | 自社で運用 | 費用を抑えられます。ただし復元テストまで含めて回せるかを確認してください |
| 触れる人はいるが、その1人に依存している | 外注、または併用 | 異動・退職でそのまま止まります。属人化した保守は、いちばん危ういときに機能しません |
| 更新のたびに表示が崩れないか不安がある | 外注 | 検証環境の用意と切り戻しの判断は、経験の差が出やすい部分です |
| 会員機能・カート機能・個人情報を扱っている | 外注 | 求められるセキュリティ水準が変わります。事故時の影響範囲も大きくなります |
| サイトを止められない(受注・予約が入る) | 外注 | 復旧の速さが売上に直結します。連絡先と対応時間が決まっている状態が要ります |
補足全部を任せる必要はありません。バックアップと監視だけ外に出し、コンテンツの更新は自社で行うという分け方もよく取ります。自社でどこまでやりたいかを先に決めておくと、見積りの精度が上がります。
自社で更新できるかは、作りかたで決まっている
「自社で更新したいのにできない」場合、原因は担当者のスキルではなくサイトの作りにあることが多いです。決まった形の入力欄(カスタムフィールド)を用意しておけば、書式を気にせず埋めるだけで整った表示になります。逆に、本文エディタだけで複雑なレイアウトを組む前提の作りだと、更新のたびに崩れます。
更新のしやすさは、公開後ではなく初期構築の設計で決まります。これから作る・作り直すなら、サイト構築・改修の段階で「どのページの、どの部分を、誰が更新するか」を決めておいてください。
4. 依頼先の4つの形
どれが優れているかではなく、自社の状況に合うかどうかで選んでください。
| 依頼先 | 向いているケース | 確認したい点 |
|---|---|---|
| 制作した会社にそのまま依頼 | 作りを分かっている相手に任せたい | 保守を専門に扱っているか。制作の片手間だと対応が後回しになることがあります |
| WordPress保守の専門会社 | セキュリティや更新の確実さを重視したい | 対応範囲と緊急時の連絡手段。デザイン変更まで頼めるかは会社によります |
| フリーランス | 小規模で、やることが決まっている | 1人体制のため、稼働できなくなったときの引き継ぎ先を決めておく必要があります |
| レンタルサーバの付帯サービス | 最低限の自動バックアップだけ欲しい | 更新の確認や不具合の切り分けまでは含まれないのが一般的です |
各社のプラン内容と価格を横並びにしたものはWordPress保守サービスの比較まとめにあります。比較表は資料としてダウンロードもできます。
5. 契約前に確認したいこと
01バックアップの保管先と復元の実績
どこに、何世代、どの頻度で保管するか。そして復元を試したことがあるか。取得しているだけで戻せない状態は珍しくありません。
02アップデートの進め方
本番にいきなり当てるのか、検証してから反映するのか。不具合が出たときに切り戻せるのか。ここが保守の質の差になります。
03緊急時の連絡手段と対応時間
誰に、どうやって連絡するのか。受付時間と、そこから動き出すまでの目安。別料金になる範囲も確認してください。
04コンテンツ修正が含まれるか
月あたり何回まで対応してもらえるか、超過分はどう扱うか。「保守」と「更新代行」は別物として見積もられることがあります。
05サーバ・ドメインの名義
契約名義が自社になっているか。名義が他社のままだと、乗り換えたいときに動けなくなります。保守の契約は名義を確認しなおす良い機会です。
06解約の条件
最低契約期間、解約の申し出の期限、解約後にバックアップデータを引き渡してもらえるか。長く続く契約だからこそ、出口を先に確認してください。
6. 費用の考え方
保守料金は対応範囲とサイトの規模で決まります。同じ「月額○円」でも含まれる作業が違うため、金額だけを横に並べても比較になりません。初期費用・月額の基本料金・従量部分・コンテンツ修正・緊急時対応の5つに分解して聞くと、各社の見積りが同じ土俵に乗ります。
分解のしかたと各項目で確認すべきことは、WordPressの保守費用の相場は?で詳しく解説しています。
WordPressケアスタジオの場合は、年払いで月額 19,250円〜(税込)、初期費用 33,000円です。サイト構築をあわせてご依頼いただくと初期費用は0円になります。ページ数・プラグイン数・サポート内容で変わるため、WEBお見積りでその場で概算を確認いただけます。
7. まとめ
WordPressの保守でやることは、バックアップ・セキュリティ・アップデートの3つに集約されます。難しいのは作業そのものではなく、更新のたびに壊れていないかを確かめ、壊れたときに戻せる状態を保ち続けることです。
自社でやるか外に出すかは、担当者がいるかどうかではなく、その人が代わっても続く形になっているかで判断してください。そして依頼するなら、金額よりも先に「バックアップを戻せるか」「更新をどう検証するか」「緊急時に誰へ連絡するか」を確認することをおすすめします。
WordPressケアスタジオは、保守・運用からトラブル解決、サイト構築・改修までを一貫して承っています。いまのサイトの状態を見たうえで、必要な範囲と費用をお示しします。ご相談だけでも構いません。